解説テレポートの取り組み
3分の映像で分かるCITYの見方。会社のデジタルインフラを、街として読む
上から
上ほど外から見える入口、下ほどデータや鍵やお金。線はつながり、霧はまだ調べていない所。経営者は引いて全体を、エンジニアは寄って中身を、同じ画面で話せる。
CITYは、テレポートが社内で使っている、会社のデジタルインフラを街のような3Dで見せる仕組みだ。この映像は、その画面を架空の会社の情報で描き、見方を3分ほどで説明する。
まず映像を見てほしい。音が出せないところでは、プレーヤーの字幕(CC)を付けると、語りが文字で出る。この記事は、映像の場面ごとに、画面の見どころと、見るときに考えたいことを補う。各節の「この場面を映像で見る」を押すと、上の映像がその場面から始まる。
CITYが何のために生まれたのか、テレポートでどう使ったのかは、解説「CITYとは何か」に書いた。この記事は、その画面の読み方の手引きにあたる。
01会社の台帳を一つの決まった形で書き、街として見せる
サーバー、アカウント、ドメイン、鍵。会社のデジタルインフラは目に見えない。表に書き出しても何百行にもなり、頭に入らない。CITYは、それを一つの決まった形で書いて、街として見せる。

ここでいう台帳は、会社が使っているものを一行ずつ書いた表だ。種類、名前、どこにあるか、今どういう状態か。行が増えるほど正確になるのに、人が読める量は超えていく。テレポートでも、整理しきった台帳を印刷しても画面に出しても、誰の頭にも入らなかった。
表を絵にすると、ばらばらの行が、位置と大きさと線を持つ。一つずつ読まなくても、「この辺りに何かが多い」「ここだけ離れている」が目で分かる。CITYの街は、そのための形だ。
02上から見ると、会社の持ち物が区画ごとに並ぶ
上から見た、ある会社の街だ。画面の真ん中から外側へ、会社の持ち物が区画ごとに並ぶ。映像は、次の順に案内する。

- Google Workspace:社員一人ひとりのアカウントと、メール
- ドメイン:会社の、インターネット上の住所(example.co.jp のような名前)
- 会社の名前でメールを送る所:Gmailのほか、お知らせを送るサービスも並ぶ
- ホームページを置いている所
- Google CloudとAWS:サービスが実際に動いているクラウド。その中に、ファイルの置き場とデータベースがある。お客さんのデータも、ここにある
- GitHub:プログラムの置き場
- 業務の道具:Slack、Notion、Figmaなど、毎日使っているサービス
- 社員のパソコン
- お金:いちばん下に。どのカードで、どこに払っているか
並びを見ると、デジタルインフラという言葉が、思っていたより広いことに気づく。サーバーやクラウドだけでなく、社員のアカウントも、毎日使うチャットの道具も、払っているカードも入っている。どれか一つが乗っ取られても、止まっても、会社の仕事は止まる。だから同じ地図に載せる。
03横から見ると、高さが外からの近さを表す
ドラッグすると、街を回せる。横から見ると、高さに意味がある。上ほどインターネットに近く、外から見える入口。下ほど内側で、データや鍵、お金がある。

高さは、守りを考えるときの道筋になる。攻める側は、上の入口(ホームページやドメイン、外に開いたサービス)から入り、下のデータや鍵やお金へ降りていこうとする。上と下をつなぐ線が多いほど、降りる道も多い。
横から見たとき、上の方に「なぜここにあるのか分からないもの」が出ていたら、それが最初に確かめる所だ。外から見える入口は、使っていなくても、閉じるまでは入口のままだからだ。
04寄るほど細かくなり、経営者とエンジニアが同じ画面で話せる
近づくほど、細かくなる。区画から、プロジェクト、その中のサービスと鍵へ。経営者は引いて全体を、エンジニアは寄って中身を見る。同じ画面で話せる。

画面の上の札には、今どの深さを見ているかが出る(L0 区、L1 プロジェクト・アカウント、L2 サービス・データ・鍵)。スマートフォンなら、指でつまむように広げて(ピンチで)寄る。
この「引く」と「寄る」が同じ画面でできることが、CITYでいちばん大事な点の一つだ。経営者が「この区画は何?」と聞き、エンジニアが寄って「中にこのサービスと鍵がある」と答える。別々の資料を見ながら話すと、たいてい話がずれる。同じものを指さしていれば、ずれない。
05線を押すと、つながりと元のデータが出る
線は、つながりだ。押すと、両端と、元になったデータが出る。何が何に頼っているか。どのカードが払っているか。辞めた人のアカウントが、まだつながっていないか。

画面の上の線は、見た目の飾りではない。一本一本に、台帳の行がある。だから「この線は何?」と聞かれたら、押せば答えが出る。
線で確かめたいのは、たとえば次の三つだ。
- 何が何に頼っているか:一つが止まったとき、ほかに何が止まるか
- どのカードが払っているか:辞めた人のカードや、誰も知らない契約で払い続けていないか
- 辞めた人のアカウントが、まだつながっていないか:人が辞めても、アカウントと権限は自然には消えない
06見方を切り替えると、一つの切り口だけが浮かぶ
見方を切り替えると、同じ街の上に、一つの切り口だけが浮かぶ。たとえば通知。障害のお知らせが誰に届いて、どこで途切れているか。

左の欄には、九つの見方が、それぞれの問いと一緒に並ぶ。
| 見方 | 問い |
|---|---|
| 構成 | 何がどこにあるか |
| 公開面 | 外から何に届くか |
| 流量 | どこがどれだけ呼ばれたか |
| 権限・ID | 誰が何に入れるか |
| 鍵 | 資格情報はどこにあるか |
| 通知 | 何か起きたら誰に届くか |
| 強度 | どれだけ守れているか |
| 課金 | お金はどこから来るか |
| 盲点 | 台帳に見えないもの |
全部を一度に見ると、線が多すぎて読めない。一つの問いを立てて、その切り口だけを浮かべる。
通知は、ふだん気にしない人が多い。でも、障害や攻撃に気づけるかどうかは、お知らせが正しい人に届くかで決まる。辞めた人のメールにだけ届いている、誰も読まないアドレスに届いている、といった途切れは、事件の夜まで気づかれない。
07霧は、まだ調べていない所を表す
霧がかかっているのは、まだ調べていない所だ。分からないことと、無いことは違う。霧の広さが、まだ把握していない量だ。

台帳に書いていないものは、普通の地図では「無い」ことになる。CITYは、「無い」と「まだ調べていない」を分けて描く。テレポートが社内の棚卸しをしたときも、7割ほどはすぐ分かったが、3割は分からず、そのうち1割ほどは本当に何が何だか分からなかった(CITYとは何か)。
霧は、隠すためのものではない。どこまで分かっていて、どこからが分かっていないかを、正直に見せるためのものだ。霧が晴れていくことが、そのまま会社の把握が進んだ量になる。
08台帳が変われば、AIエージェントが街を描き直す
台帳が変われば、AIエージェントが街を描き直す。分からないことは、チャットで聞けば、街の上で示してくれる。

会社のデジタルインフラは、毎日変わる。人が入り、辞め、サービスを試し、契約を増やす。一度きれいに描いても、手で直し続けなければ、地図はすぐに古くなる。CITYでは、その描き直しをAIエージェントが受け持つ。
聞き方は、ふだんの言葉でよい。「会社の鍵が残っているパソコンは?」と聞けば、答えが文で返り、当てはまる所が街の上で光る。テレポートでは、2026年10月21日のPHPの脆弱性の夜も、チャットでエージェントを呼ぶところから対応を始めた(CITYとは何か)。
09経営者も社員も、同じ街を見て話し合える
経営者も社員も、同じ街を見て、話し合える。
セキュリティの話は、詳しい人と詳しくない人のあいだで止まりやすい。詳しくない人は何を聞けばいいか分からず、詳しい人は何から説明すればいいか分からない。同じ街を見ていれば、「ここは何?」から話を始められる。
10自分の会社で、まず三つを確かめる
CITYが手元になくても、映像の見方は、自分の会社を考える手がかりになる。社内で映像を一緒に見たあと、次の三つを話してみてほしい。
- いちばん上(外から見える入口)に、何があるか:ホームページ、ドメイン、外に開いたサービス。使っていないものは無いか
- 線の先に、辞めた人はいないか:アカウント、権限、払っているカード、届いている通知
- 霧はどこにあるか:誰も説明できないサービスや契約。「無い」のではなく「分からない」ものを、分からないと書き出す
三つめの答えが「分からない」ばかりでも、それが出発点になる。テレポートのCITYも、霧を一つずつ晴らすところから始まった。
この記事について
映像「CITYの見方」(約3分、テレポート株式会社)の語りを書き言葉に整え、場面ごとに Data is CITY Media 編集部が補足を足しました。映像と記事の画面は、映像のために架空の会社の情報で描いた例で、名前や番号は実在しません。映像の語りは、AIで作った声です。
棚卸しの割合(7割・3割・1割)とPHPの夜の対応は、テレポートの社内の記録によるもので、第三者は確かめていません。




